ホップについて(その4)

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ホップの苦味の単位

手作りビールの苦味には国際苦味単位(International Bitterness Unit : IBU)という単位が使われます。1Lのビールに1mgの異性化したα酸が含まれているとき、1IBUとされます。この数値が高いほどビールは苦いことになります。

ただし、同じIBU値でもビールの種類によって苦さが違うことがあります。20IBUのスタウトとアメリカン・ラガーがあったとします。モルトの甘みが強く芳醇なスタウトよりも、ライトなアメリカン・ラガーの方がずっと苦く感じられるのです。

ホップの風味と芳香

苦味のほかに、風味や芳香といったホップの特徴をうまく利用すればビール作りに深みがでます。ただし、ホップを使い過ぎるとかえって風味が台無しになってしまいます。上手に使ってビールのバリエーションを広げましょう。

  • 苦味付けのホップを「ビタリングホップ」もしくは「ボイリングホップ」
  • 風味や芳香付けのホップを「フィニッシングホップ」

と呼びます。

その3に書いたように、
ホップの風味と芳香はルブリンに含まれたオイルから生まれます。苦味成分を出すレズンと違って、ルブリンのオイルはすぐ水に溶けます。しかしその反面、揮発性も持っているので、ウォートを煮込むと水蒸気と一緒に出て行ってしまいます。ホップのデリケートな風味や芳香をビールにつけるときには、お茶を煎じだすようにします。鮮度の良いホップを熱いウォートに10分前後浸せば、ビールに風味と芳香をつけることができます。このとき、苦味はあまりつきません。

また、「ドライホッピング」という方法もあります。これは発酵を終了したビールに乾燥したホップを投入する方法で、ビールを瓶詰めする3,4日前に行います。19リットルのビールなら約7gのホップで足ります。瓶詰めのときにはホップを取り除きましょう。

ただし、この方法はリスクがあります。ホップにビールを汚染する微生物が付いているかもしれません。ドライホッピングをするといにはビールがしっかりと発酵を終えているのを確かめてからにしてください。発酵が完了したビールには雑菌の繁殖を抑えるのに十分なアルコールと酸が備わっているはずです。発酵前のビールは雑菌にとって格好の住処になってしまいます。ドライホッピングにはホップペレットというものを使うと便利です。

ホップの風味の好きな、いわゆる「ホップヘッド」の人は次のようにフィニッシングホップを行うとよいでしょう。

  1. 風味付けのため、ウォートを煮込み終える約15分前に少量のホップを投入します
  2. 方向付けのため、煮込み終了の1,2分前に再び少量のホップを投入します
  3. それからウォートをすばやく火からおろし、できるだけ早く冷却します

このやり方ならドライホッピングのようにビールが雑菌に汚染される心配も無く、瓶詰めの前にドライホップを取り除く手間がありません。

ホップオイルについて

ホップオイルは揮発性の油で、とても複雑な化学成分の組み合わせによって構成されています。ほんの少量を添加するだけでもビールにはホップの風味とアロマが加わります。使い方はフィニッシングホップと同じで、ウォートを煮込み終わる直前、あるいは発酵終了後や瓶詰めの際ビールに添加します。ただし、ホップオイルは水やビールに溶けにくいので、エチルアルコールやウォッカなどアルコール濃度の高いものにまず溶けこませ、そのあとでビールに添加します。そのままをビールに添加しても油っぽくなるので注意しましょう。

ホップペレットについて

ホップペレットはホップの花をハンマーミルという機械で粉砕し、それに圧力をかけてペレット状にしたものです。これによってルプリンのカプセル破壊されてしまいますが、反対にレズンとオイルが凝固してペレットの形を保つことができます。

ホップペレットの欠点は、

  • ルプリンのカプセルが破壊されるので、ホップの風味や苦味が減少してしまう
  • ウォートに添加すると粉末状になって拡散するので、取り除くことが難しくなりクリアにビールを作りにくくなる

ということが挙げられます。本来ならウォートを発酵容器に移すとき、ホップの花がフィルターベッドと呼ばれる自然の濾過槽を形成してくれますが、これが粉末状になったペレットでは形成されないからです。

利点は

  • かさばらない
  • 内部のレズンやオイルは外気から保護されるので、保管しやすい
  • 加工することで複数のホップをブレンドできるようになる

ということが挙げられます。

ホップエキストラクトについて

ホップエキストラクトとは色々な溶媒を使ってホップのレズンを溶かしだし、それを科学的に加工してビールやウォートに溶けやすい性質をもたせたものです。新しい方法では、液状の二酸化炭素を使って苦味成分であるレズンとともに揮発性のオイルまでを同時に抽出出来るようにもなりました。ただし、濃縮してあるので苦味の成分は強く、風味やアロマは期待できないです。もし使用する場合は、説明書をよく読んで使ってください。そうしないととんでもなく苦いビールができあがることもあります。また、溶媒に毒性の化学物質が使われているものもあります。煮込んで使えば毒素も分解蒸発させることもできますが、必ず説明書をよく読んで使うようにしてください。

ホップ入りのモルトエキスとビアキット

モルトエキスやビアキットにはホップ入りのものが多く売られています。ただし、モルトエキスを煮込んでいくうちに風味や芳香はほとんど飛んでしまうので、フィニッシングホップを使うことがオススメです。

質の良いホップの見分け方

ホップは新鮮で良いホップを遣いましょう。安いからといって古くなったホップを買うのはやめたほうが良いです。なぜなら風味も芳香もすでに無くなっており、全くのムダになってしまうためです。

ホップの良し悪しを見分けることは難しくありません。よく見て匂いを嗅いで感じとってください。新鮮なホップやホップペレットは緑色をしています。もし茶色がかっていたらそれは酸化している証拠です。特にルプリンは鮮やかな黄色でなくてはなりません。酸化したルプリンはオレンジ色になっています。また鮮度の良いホップは、指でつまんでルプリンを潰してみると、べとべとしてホップの匂いがします。反対にべとつかずにチーズのような匂いがすれば、それは酸化している証拠です。

ホップのパッケージングは非常に大切です。良い製品は酸化防止ビニーrうやアルミホイルでコーティングされたバッグに詰められ、酸素が取り除かれ真空状態になっています。また酸素の代わりに窒素が注入されていれば尚良いです。冷蔵庫で保管すれば、保存期間も伸ばすことができます。ただし、花を近づけたときにホップの香りが少しでもしたら、そのパッケージは完璧ではありません。ホップの質にこだわるのは重要な事です。なぜなら、ホップの状態が悪いと、ビールそのものが台無しになってしまうからです。

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